息子の発達障害の可能性を指摘してくれた保育園の先生へ。ごめんなさい、ありがとう。

息子・でんぱが3歳半のとき、保育園の先生から「発達面で不安なところがある」と指摘されました。

私は発達障害の可能性をまったく考えもしていなかったので、混乱し、頭の中が真っ白になったことを思い出します。

その日からずっと頭の中がグルグル…

2人目妊娠中なのもあって情緒が安定せず、不安ばかりが膨れあがり、辛い日々でした。

 

「先生が黙っていてくれれば、今まで通り、気づかずに暮らしていけたのに」なんて、まったくお門違いな思いを抱いたこともあります。

 

息子が小学2年生になって思うのは、「あの時教えてくれて本当に本当にありがとうございます」ということ。

当時の先生はすでに異動されていて、この思いを伝えることができず…本当に申し訳なかったと思います。

6歳の息子 発達障害を疑われてから、診断まで~前編~

面談で伝えられた「発達に関する心配」

4月生まれのでんぱは、0歳11か月のとき、保育園の0歳児クラスに入園。

最初はもちろん大泣きでしたが、だんだんと保育園にも慣れていきました。

 

今思えば、当時から色々とおかしな点はあったものの、

  • 私にとって初めての育児で、「子供ってこんなもの」と思いこんでいたこと
  • 自分の子以外の子とあまり接する機会がなく、周りの子との違いを知らなかったこと

などから、私はまったく気づかずに暮らしていたんです。

 

そして時は過ぎ、2歳児クラスに入り半年ほど過ぎたころ、保護者面談の機会がありました。

ぽんぱ
保護者面談っていっても、特に話すこともないよね~
なんて当時は思ってましたね。

 

でも先生は「ご家庭で困ったことはありませんか?」「こんなときは、どんな風に過ごしていますか?」と色々と質問されてきました。

なんだかいつもと雰囲気が違うな…と思っていると、先生はポツポツとお話をはじめたんです。

 

先生
でんぱくんの発達に、少し心配なところがあります。

 

みんなが外に行っても、一人だけ自分の遊びを続けようとする。

一斉指示が通らない。

激しいこだわり・かんしゃく・パニック…。

 

先生

3歳児クラスになると、配置される保育士の数もグッと少なくなります。

そうなると、でんぱくんにとっては難しいのではないかと…。

 

そう言って先生は、市の発達相談のパンフレットをくれました。

 

先生

お母さんも、でんぱくんも、困っていることを少しでも楽にできたらと思うので、よかったら相談してみてください。

もうすぐ3歳半検診もあるので、そちらでもお話されてみてくださいね。

 

 

私は終始、ぼうぜんと話を聞いていました。

うちの子が?先生はいったい誰のことを言っているんだろう?

困っていることって何?なにを助けてもらえるの?

先生が言っていることが、現実のこととは思えませんでした。

 

頭が真っ白なまま、「はい…」とだけ言って、息子を連れて家に帰りました。

頭ではわかっていても、腑に落ちない。受け止められない。

その日の帰り道、私はずっと息子を観察していました。

 

こんなに元気にしゃべって、歩いて、感情があって、この子の発達が心配って何なんだろう…

発達障害かもしれないってことだよね…?

 

ずうっと頭は混乱状態。

その日の夜、夫とも話しました。

 

ぽんぱ
保育園の先生から、こんな風に言われたんだけど…発達障害の可能性も考えておいた方がいいかもしれないって…
なっぱ
え…そうなの…正直、信じられない…
ぽんぱ
でも…息子は息子で変わらないし、もしそうじゃなかったらラッキーだし、そうだとしても早く対応できたらラッキーなんだと思う

 

頭ではわかっていたんです。

受け止めるしかないって、自分に言い聞かせてました。

たくさんの子供たちを見ているプロの保育士さんが言うんだから、少なくともそういう傾向はあるんだろうって。

息子は息子で、昨日までと何ひとつ変わらない大事な存在で、障害があってもなくても、がんばって育てるだけなんだって。

 

そう思いこもうと思いました。

でも、心の底ではぜんぜん納得できなかった。

 

どうして。うちの子が。

元気で、健康に育っていると思っていたのに。

発達障害だったらどうしよう。どうやって生きていけばいいの。

怖い。

 

何も知らなくて、怖くて仕方ありませんでした。

障害者の世界は「向こう側」みたいに見ていた私は、あまりに無知だったんです。

 

自分たちが住んでいた世界を「ここはあなたたちの世界じゃなかったんだよ」って、追い出されたみたいな気持ちでした。

先生を避けるようになってしまった。

それからは、発達障害についてたくさんネットで調べたりしました。

「この行動は当てはまる…」「これは当てはまらない…」

発達障害とされる行動のうち息子にあてはまらない行動を探しては、発達障害じゃないのかも、と思いたかった時期です。

 

そうこうしているうちに3歳半検診がありましたが、「このころの子供はこんなものですよ。考えすぎ」と保健師さんに言われて、ほっとしてしまったこともありました。

 

保健師さんがそう言ってるなら、うちの子は発達障害じゃないんだ!きっとそうだ!

息子が発達障害と信じたくない私の気持ちを、保健師さんは後押ししてくれたように感じました。

今思えば、すっごい間違ってますけど💦

 

保育園の先生には、3歳半検診で言われたことを伝えました。

でも先生は、納得した様子はなくて。

先生

ううん…そうですか。

でも対応はできたら早い方が良いと思うので、また市の発達相談も利用してみてくださいね?

 

あ、先生は思い過ごしとは思えないんだな、とわかりました。

きっとそれだけ、息子には手を焼いているんだな…と。

 

でも私はそれ以上、息子の発達障害のことで思い悩みたくなくて「いったんこれで解決」と思いこもうとしました。

そして先生には、あまり近寄らなくなってしまいました。

これ以上、発達のことを言われたくないって思ってしまったんです。

 

障害受容には長い時間が必要。今でも完全には受け入れてないと思う。

そんな日々が続くなかで、息子の特性もだんだん見えてきました。

そしてその特性が原因で、トラブルを起こしてしまうことも。

 

時間がたっていくなかで、私たちが何もしなかったら困るのはこの子自身なんだ…というのもわかってきました。

 

そうして徐々に相談に行ったり、本で勉強したりするように。

その時もあまり気持ちはついてきませんでしたが、とりあえず形だけでも入ってみることにしたんです。

 

そうしたら、ああ先生が言っていたのはこういうことだったのかな…というのが、長い時間をかけて徐々にしみこんできました。

今でも「完全に息子の障害を受容できた」というわけではありませんが、息子を構成する要素のひとつひとつを落とし込んでいくことで、少しずつ親子が歩み寄れてきたように思います。

伝えにくいことを伝えてくれて、ありがとうございます。

第2子の出産のため帰省して、数か月保育園をお休みしていましたが、その時に先生は異動されてしまいました。

そのため失礼な態度を取ってしまったのを謝ることも、感謝の気持ちをお伝えすることもできず、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

先生が「この子の発達、ちょっと不安だな…」って思っても、保護者に伝えるのは難しいことだと思います。

私も思いました。「うちの子が?本当に?信じられない」「何かの間違いじゃないのか」…信じられない気持ちでいっぱいで、先生たちに対して不信感も抱いてしまったんです。

まったく情けない話ですが。

 

先生たちにとっては、伝えにくいことを伝えるうえ、きっと保護者から反発されることもありますよね。

そうなれば「やっぱり言わずに様子を見てみよう」なんて、見過ごされることもあると思います。

 

そんなリスクを抱えてでも、息子の今後を想い、私に伝えてくれた保育士の先生。

本当にありがとうございます。

 

あなたのおかげで、親の私たちも、息子のことを少しずつ理解できました。

今もまだ苦しいことはたくさんありますが、発達障害に気づいていなかったら、私はずっと息子を叱りとばしてなんとか矯正して社会に適応させようとしていたと思います。

そして息子をつぶしてしまっていたかもしれません。

息子は発達支援センターや療育に通い、少しずつ自分の特性と、社会との折り合いをつける練習をしています。

私が育児で辛いときには、発達障害児をもつ親御さんたちと交流させてもらうこともできています。

 

息子が発達障害であることに気づかなかったら、私たちは今よりずっとずっと孤独な世界に生きていたと思います。

 

教えてくれた先生、なかなか言葉をすぐに受け止められなくてごめんなさい。

頭ではわかっていても、腑におちて受け止められるまで、とても時間がかかってしまいました。

あなたのおかげで、私たちは救われています。

本当に、本当に、ありがとうございました。

まとめ:伝えるって、難しい。受け入れるって、難しい。

私が保育士の先生の立場だったら、本当にその子のことを思って、障害の可能性を伝えてあげることをできたのかわかりません。

先生は、とても勇気のあるすばらしい先生でした。

でも私は自分のことばかりで、そのことは、時間がたった今だからわかるんです。

もし先生が自分が担当する1年だけだから…その間だけやり過ごせれば…なんて思うなら、絶対言わない方が楽ですもんね。

 

いっぽうで、いきなり障害の可能性を告げられる親の気持ちというのも、とても難しいものがあります。

混乱し、受け入れがたく、何かの間違いではないかと。

 

障害を理解し、受け入れるにはとても時間がかかるものだと思います。私も道なかばです。

 

親の私は、今まで障害のある方が身近にいたことがなく、障害者に対してどこか違う世界の人のように思ってしまっていたことも受け入れがたく感じてしまっていました。

 

でも、そんな別の世界なんてないんですよね。

この世界は、ぜんぶまぜこぜの一緒くたに存在してるんだなとわかったのも、息子のおかげです。

 

素晴らしい先生に出会えたことに感謝し、これからも何とか子育てをしていきたいと思います。